突如わたしの上に舞い降りた
小さな身体の羽虫は
夜だよ、と告げました
小さな小さな羽をぱたぱたさせて
紅い眼でわたしに
夜だよ、と告げました
窓からみえたのは
遥か深海に明滅する
地底人たちの交信用ライトの灯でした
わたしは訊ねました
「あんなにたくさんいたアンテナは
一体何処へ行ってしまったの?」
羽虫は触覚を小さな手で撫でながら
「昼は骨のフリしてるけど、ほんとはあいつら泳げるんだ。
夜は雲海まで遊泳に行ってるのさ。明日になればまた逢えるよ。」
と教えてくれました
これでわたしは安心して眠れそうです
どうぞ、みなさんにも素敵な夢を
おやすみなさい。