『夢語り』


 

 

ある春の午後

葉漏れ日、風そよいで

 

浅い眠りの中

ボクは夢を視ていた

 

 

 

此処はどうやら砂漠らしい。

 

 

 

やれやれ、

これから何処へ行こうかーーー。 

 

 

 

ボクは歩いた。

 

歩いて歩いて歩いたが、

右へ行っても左へ行っても

似たような景色が拡がるばかり。

 

ボク以外、誰もいない。

 

 

一時間前と今、

時間の経過は体力の消耗でのみ

感じていた。

 

 

この先に

何があるんだろうかーーー?

 

 

 

もうどれ程に歩いたろう。

 

ボクは疲れて、

その場に座り込んでしまった。

 

 

そのままぼーっとしていると、

遠くの方から何やら黒いものが近づいてくるーーー。

 

 

 

其れは何と...!

 

アンテナの行列だった!!

 

 

 

陽射しが強くなり、

影によって複製されたアンテナたちは

二人三脚のような足並みで

ボクのことは眼(!)に入らぬが如く

すまし顔で通り過ぎていく。

 

 

ボクがあっけにとられていると、

今度は空に曲線が浮かび上がった。

 

 

一体あれは...?

 

 

 

 薄靄のような雲が流れてきた

と思ったら、曲線はやがて

ぐるぐる渦を巻き出した。

 

嗚呼、ずっと見つめていると

ボクの眼もなんだか廻りそうだ。

 

 

 

 渦は次第に周りの空気を巻き込みだした。

 

アンテナたちはふわっと

宙に浮いたかと思うと、

渦の中心に次々と吸い込まれていく。

 

 

その奇妙な光景から眼が離せず、

ボクは逃げることを忘れてしまっていた。

 

 

 

 

果たしてボクの運命や、如何にーーー。

 

 

 

 其れから...

 

やはり回避不可だった。

 

ボクも吸い込まれた。

 

 

渦の勢いは止まず

周りの空気だけでなく

光までもを吸い込み出した。

 

 

 

 あぁ、真っ暗だ。

なぁんにも視えないや。